断熱を再考 Part2
こんにちは!
今回も引き続き「断熱」について書いていきたいと思います。
(2006年に5回ほどにわたって、住宅における断熱に関することを勉強し、考えながら書いていったものを再度まとめてみるシリーズです。)
今回は「熱の伝わり方」について考えます。
熱移動
モノは高い所から、低い所へ移動します。風は気圧の高い方から低い方へ吹きます。
熱も同じように温度の高い方から、低い方へ移動します。
でも、前回書いたように、あくまでも人間がどのように感じるかが住環境にとっては一番大事です。
少し悪い言い方ですが、人間の感覚をごまかす事が出来ればいいとも言えるのではないでしょうか…?
熱移動の三原則
熱移動の三原則をご存知でしょうか?
熱移動、つまり熱の伝わり方には「伝導」「対流」「輻射」の3つの形式があります。
伝導とは
伝導とは、物質の内部で熱が伝わることです。
鍋やフライパンを火にかけると直接加熱していない取っ手の部分まで熱くなりますよね。
これも伝導です。鍋底から熱が伝わってくるため、取っ手が熱くなります。
また物質と物質が接している部分で熱が伝わることも1例です。
例えば床暖房の上にいると暖かく感じる、お風呂のお湯が冷たい空気に接していると冷めてしまうということがあります。
◎もっと詳しく…
物質の熱エネルギーは物質内部の分子や電子の運動として考えることができます。
高温の部分ほど分子や電子が激しく動き回っているわけですが、
分子や電子どおしの衝突により高温部分の運動エネルギーが低温部分に移ることで熱が伝えられる…と考えることができます。
対流とは
対流とは、気体や液体が移動することにより熱が伝わることです。
先ほどのお風呂のお湯の例で言えば、湯船にフタをしていないとお湯が冷めやすいというのは次のように説明できます。
もし対流が無ければ、お湯の熱が伝わるのは水面に接している部分の空気だけなので、お湯はそれほど冷めません。
対流があるので、お湯によって温められた空気は上のほうに昇っていき、入れ替わりに冷たい空気が入ってきます。
この入ってきた冷たい空気がお湯によって温められて上昇、また冷たい空気が入ってきて…という繰り返しによって、お湯がどんどん冷めていくわけです。
このしくみで部屋を暖めるのが、エアコンです。
◎もっと詳しく…
一般に気体や液体は温度が高いほど密度が小さい、言い換えると温度が高いほど軽いという性質があります。
この密度の差によって発生する浮力により、気体や液体が循環して熱の移動が発生するわけです。
放射とは 放射:一般的に言われている輻射熱
放射とは、物体が電磁波の形でエネルギーを放出することです。
住環境を考える上で分かりやすい例で言えば、太陽光線がこれに当たります。
正確には電磁波(熱線)が物体に衝突し、熱エネルギーを発散します。物体自ら熱を放射するということみたいです。
夏に日陰に入ると涼しいのは太陽光線が遮られているからですよね。
◎もっと詳しく…
あらゆる物質がその温度に応じた電磁波を放射しています。あらゆる物質/物体と言いましたが、人間も例外ではありません。
サーモグラフィーの画像を見たことがあると思いますが、あれは物体(あるいは人体)が放射している赤外線などの電磁波を可視化したものです。
ここでビックリする真実…
一般的な「高気密・高断熱」と言われているものでは、この3種類の熱移動の内わずか25%程度しか対策されていない…!
というのも、熱移動の内、伝導熱が全体の約5%、対流熱が約20%、放射熱が約75%です。
断熱材で対応できるのは伝導熱のみです。しかも、遮るわけではなく熱が伝わるのを遅くするものです。
高気密では、屋外からの対流熱に対応できます。
しかし、気密化が進み室内表面結露によるカビ・ダニが発生し、アレルギー・アトピー・目のかゆみ・喉の痛みなどを引き起こす原因の一つと考えられるようになりました。
では、どうすればいいのでしょう?
今回は、随分と長くなってしまいましたので、ここまでとします!
次回は「熱容量」について考えたいと思いますので、お楽しみに!
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