断熱を再考 4

 ■第4回目、今回は「蓄熱と熱伝導率」について考えました。
 蓄熱とは、文字通り熱を蓄えることです。
 これが、意外と断熱を考える時にも関係するのです。


 前回も書きましたが、比熱が小さいほど熱しやすく冷めやすい材料です。また、比熱に重さをかけた熱容量が大きいほど熱しにくく冷めにくい物体だといえます。
 蓄熱を数値化するのに一般的に、物質によって比重が違うので比較しやすいように「容積比熱」という係数で表します。つまり、単位体積あたりの熱容量です。
 ※参考:代表的な材料の容積比率は以下の通りです。(単位は[kJ/m3K])
コンクリート:1896 土壁:971 木材:648 石膏ボード:904 グラスウール:8.4 
 熱伝導率とはこの熱移動(伝導熱)のおこりやすさを表す係数で、単位長さ(厚み)あたり1℃の温度差があるとき、単位時間に移動する熱量です。数値が小さいほど熱を伝えにくい材料です。
 ※参考:代表的な材料の熱伝導率は以下の通りです。(単位は[W/mK])
コンクリート:1.60 土壁:0.58 木材:0.12 石膏ボード:0.22 グラスウール:0.05 
 蓄熱量(容積比熱)は、コンクリートや土壁が大きく、グラスウールなどの断熱材や木は小さいのがわかります。
 単純な伝導熱に対する断熱性性能は熱伝導率が小さいほど高く、グラスウールなどの断熱材のほか、木がかなりよく(グラスウールの半分程度)、コンクリートの断熱性はかなり悪いのが分かります。
 
この、断熱と蓄熱を上手に組み合わせれば・・・・
夏:昼間の暑さ屋内に伝えずに、夜の涼しさを蓄える。
冬:昼間の暖かさを蓄え、夜の寒さを屋内に伝えない。
なんてのはどうでしょう?
 しかし、外壁及び、屋根面では難しいのかなと思います。(お金をかけて、システムを導入すれば可能でしょうが)
 蓄熱に関しては、開口部(窓)を通る太陽光や風といった自然を有効に利用し、建物の床面に蓄えることが一番有効ではないでしょうか。
では、外壁や屋根面は?
ということで次回は、「断熱と遮熱」について考えます。(なんか数字が多くなってしまって見にくいですね・・・次回からは具体的な話にしたいと思います。)