断熱を再考 2
■第2回目、今回は「熱の伝わり方」について考えました。
モノは高い所から、低い所へ移動します。風は気圧の高い方から低い方へ吹きます。・・・・・
熱も同じように温度の高い方から、低い方へ移動します。(基本的には)
でも、前回書いたように、あくまでも人間がどのように感じるかが住環境にとっては一番大事なんですが・・・・悪く言えば、人間の感覚をごまかす事が出来ればいいのでは・・・・
本題に入ります。熱移動の3原則というのをご存知でしょうか?
熱移動、つまり熱の伝わり方には「伝導」「対流」「輻射」の3つの形式があります。
※伝導とは
伝導とは、物質の内部で熱が伝わることです。物質の熱エネルギーは物質内部の分子や電子の運動として考えることができます。高温の部分ほど分子や電子が激しく動き回っているわけですが、分子や電子どおしの衝突により高温部分の運動エネルギーが低温部分に移ることで熱が伝えられる…と考えることができます。
例えば鍋やフライパンを火にかけると直接加熱していない取っ手の部分まで熱くなるのは伝導により鍋底から熱が伝わってくるためです。また物質と物質が接している部分で熱が伝わる。例えば床暖房の上にいると暖かく感じる、お風呂のお湯が冷たい空気に接していると冷めてしまうというのも伝導により熱が伝わっている例といえるでしょう。
※対流とは
対流とは、気体や液体が移動することにより熱が伝わることです。一般に気体や液体は温度が高いほど密度が小さい、言い換えると温度が高いほど軽いという性質があります。この密度の差によって発生する浮力により、気体や液体が循環して熱の移動が発生するわけです。
先ほどのお風呂のお湯の例で言えば、湯船にフタをしていないとお湯が冷めやすいというのは次のように説明できます。もし対流が無ければ、お湯の熱が伝わるのは水面に接している部分の空気だけなので、お湯はそれほど冷めません。が、対流によりお湯によって温められた空気は上のほうに昇っていき、入れ替わりに冷たい空気が入ってきます。この入ってきた冷たい空気がお湯によって温められて上昇、また冷たい空気が入ってきて…という繰り返しによって、お湯がどんどん冷めていくわけです。このしくみで部屋を暖めるのが、エアコンです。
※放射とは
放射(一般的に言われている輻射熱です。)とは、物体が電磁波の形でエネルギーを放出することです。あらゆる物質がその温度に応じた電磁波を放射しています。あらゆる物質/物体と言いましたが、人間も例外ではありません。サーモグラフィーの画像を見たことがあると思いますが、あれは物体(あるいは人体)が放射している赤外線などの電磁波を可視化したものです。
住環境を考える上で分かりやすい例で言えば、太陽光線がこれに当たります。正確には電磁波(熱線)が物体に衝突し、熱エネルギーを発散します。物体自ら熱を放射するということみたいです。
夏に日陰に入ると涼しいのは太陽光線が遮られているからですよね。
■ここでビックリする真実・・・一般的な高気密高断熱ではこの3種類の熱移動の内、わずか25%程度しか対策されていない!!
というのも、熱移動の内、伝導熱が全体の約5%、対流熱が約20%、放射熱が約75%です。断熱材で対応できるのは伝導熱のみです。しかも、遮るわけではなく熱が伝わるのを遅くするものです。高気密では、屋外からの対流熱に対応できます。しかし、気密化が進み室内表面結露によるカビ・ダニが発生し、アレルギー・アトピー・目のかゆみ・喉の痛みなどを引き起こす原因の一つと考えられるようになりました。
では、どうすればいいのでしょう?
今回は、随分と長くなったしまいましたので、ここまでとします。
次回は「熱容量」について考えたいと思います。